アルハキーム・モスク

アル・ハーキムのモスク

西暦1013年に建てられたアル・ハーキムのモスクは、広大で質素な建物であり、カイロの北側の城壁に組み込まれています。市内で最も古いモスクのひとつでありながら、礼拝には一度も使用されませんでした。代わりに、何世紀にもわたってさまざまな用途に使われてきました。十字軍の監獄、馬小屋、倉庫、少年学校、そして創設者の性格を考えると最もふさわしい精神病院として利用されたこともあります。
モスクの真の宝は二つの石造りのミナレットであり、これはカイロで最も古いものです。1304年にベイバルス・アル・ガシャンキールによる地震後の修復のおかげで、今日まで残っています。
カイロには他にも訪れるべき多くのモスクがあります。オスマン建築の美しい代表例であるムハンマド・アリー・モスク、エジプトで最も重要な場所のひとつであるサイイドナ・アル・フセイン・モスク、西暦1474年に建てられたカイトベイ・モスク、西暦970年に新しいファーティマ朝の中心として建てられたアル・アズハル・モスク、そしてアル・アズハル公園のバーブ・アル・マフルーク入口近くにあるアスラーム・アル・シラフダール・モスクなどです。

アル・ハーキムはエジプト第6代ファーティマ朝の統治者であり、わずか11歳で王位に就きました。彼の家庭教師は、彼の恐ろしい容姿と奇妙な行動のために「小さなトカゲ」というあだ名をつけました。彼の24年間の統治は暴力に満ち、通常の宮廷の陰謀をはるかに超える行動によって特徴づけられています。現代の歴史家たちは、彼が単に狂っていたのではないかと考えています。彼の周囲の人々は常に命の危険にさらされていました。彼はあだ名をつけた家庭教師をはじめ、多くの人々を殺害しました。アル・ハーキムは夜に変装してロバに乗り、町を歩き回るのが常でした。特に有名なのは、不正直な商人を非常に体格の良い黒人の召使いに処罰させたことです。彼の死もまた、その人生と同じくらい奇妙でした。ムカッタムの丘へ夜に一人で出かけた際、彼は忽然と姿を消し、その遺体は決して見つかりませんでした。

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彼の弟子の一人であるアル・ダリズィにとって、これはアル・ハーキムの神性を示す証拠でした。この考えから、アル・ダリズィは今日まで続くドルーズ派を創設しました。イスマーイール派のシーア派のグループが1980年代にこのモスクを修復しました。しかし、その広々とした中庭と簡素な外観が今も印象的です。